コラム

歯周病

歯周病で保存不可能と言われた歯〜抜かない治療の可能性を専門医が解説

「保存不可能」とはどういう状態を指すのか?

「保存不可能」とは、歯槽骨の吸収が著しく進み、通常の歯周治療では歯を安定させることが困難と判断された状態を指します。

日本歯周病学会の診断基準によると、歯周炎は歯周ポケットの深さ・歯槽骨吸収度・アタッチメントロス・歯の動揺度などを総合的に評価して「軽度(P1)」「中等度(P2)」「重度(P3)」に分類されます。

重度(P3)と診断された歯であっても、それがすぐに「抜歯しかない」を意味するわけではありません。保存できるかどうかは、骨の残存量・根の形態・咬合状態・患者さんのセルフケア能力など複数の要素を専門的に評価して初めて判断できます。

  • 歯周ポケット深さ:6mm以上で重度の目安。10mm超は特に注意が必要
  • 歯槽骨吸収度:根の長さの1/2以上の吸収は重度サイン
  • 歯の動揺度:2度・3度の動揺は骨支持の著しい低下を示す
  • 根分岐部病変:奥歯の根の分かれ目まで病変が及んでいる状態

これらの指標が複合的に悪化している場合に「保存不可能」と判断されやすくなります。ただし、一般歯科と歯周病専門医では診断の精度や治療の選択肢が異なることを知っておくことが重要です。

成城学園前駅徒歩1分の歯医者 岩野歯科クリニック

抜歯を勧められて迷っている方へ

歯を残せるかどうかは、骨の状態や噛み合わせなど複数の要素から判断します。当院ではセカンドオピニオンも承っていますので、まずはご相談ください。

なぜ「抜くしかない」と言われてしまうのか?

「抜くしかない」と言われる背景には、治療の難易度・設備・専門知識の差が大きく関わっています。

歯周病は、プラーク1mgあたり1億個以上もの細菌が含まれる感染症です。進行すると歯槽骨が溶け、歯がグラグラする状態になります。この段階の治療には、高度な外科的技術と専門的な判断が求められます。

一般歯科では、重度の歯周炎に対して外科的アプローチを行う設備・技術・時間が十分に確保できないケースがあります。その結果、「抜歯」という選択が提示されやすくなります。

  • 設備の問題:歯周外科に必要なマイクロスコープや再生材料が整っていない
  • 専門知識の問題:再生療法の適応判断には専門的なトレーニングが必要
  • 時間的問題:歯周外科治療は複数回の精密な処置が必要で、一般外来では対応が難しい
  • 予後予測の問題:治療後の長期予後を見据えた判断には経験値が求められる

重要なのは、「保存不可能」という診断が必ずしも最終的な答えではないという点です。歯周病専門医によるセカンドオピニオンを受けることで、新たな選択肢が見つかる場合があります。

重度歯周病でも歯を残せる可能性がある治療法とは?

重度歯周病の歯を保存するために、歯周外科治療・再生療法・精密診査を組み合わせた包括的アプローチが有効です。

日本臨床歯周病学会の治療方針によると、基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)で改善が不十分な場合、外科的にポケットを減少させる手術や、失われた骨を再生させる手術が適応されます。

歯周基本治療(SRP)〜すべての出発点

どんなに重度の歯周炎でも、まず行うべきはスケーリング・ルートプレーニング(SRP)です。歯石・歯垢を徹底的に除去し、歯根面を滑沢にすることで炎症を抑えます。

SRPと並行して、患者さん自身のブラッシング技術を向上させる「TBI(ブラッシング指導)」も欠かせません。どれほど高度な治療を行っても、セルフケアが不十分では再発を防げません

歯周外科治療〜外科的にアプローチする方法

基本治療後も深いポケットが残る場合、外科的処置を検討します。代表的な術式は以下の通りです。

  • フラップ手術(歯肉剥離掻爬術):歯肉を切開して歯根面を直視下で清掃する
  • 骨切除術:不整な骨形態を整えてポケットを浅くする
  • 歯周組織再生療法(GTR法・エムドゲイン法):失われた骨・歯根膜・セメント質を再生させる

特にエムドゲイン(エナメルマトリックスタンパク質)を用いた再生療法は、日本歯周病学会の「歯周病患者における再生療法のガイドライン2023」でも推奨されており、一定の条件を満たす症例では骨の再生が期待できます。

リアルタイムPCR検査〜原因菌を特定する精密診断

治療の精度を高めるために、歯周病菌の種類を特定するリアルタイムPCR検査が有効です。

代表的な歯周病原菌には、P.g.菌(Porphyromonas gingivalis)・T.f.菌(Tannerella forsythia)・T.d.菌(Treponema denticola)などがあります。どの菌が主体かを把握することで、抗菌療法の選択や治療計画の精度が上がります。

岩野歯科クリニックでは、このリアルタイムPCR検査を取り入れ、細菌学的根拠に基づく個別化された治療を提供しています。

「1口腔1単位療法」とはどのような考え方か?

「1口腔1単位療法」とは、歯周病を1本の歯だけの問題ではなく、口腔全体の感染症として捉え、包括的に診査・診断・治療する考え方です。

日本歯周病学会会誌(2019年)の論文でも示されているように、歯周炎の診断は「一歯単位の評価を踏まえた一口腔単位での診断」が推奨されています。1本だけを治療しても、口腔内全体の感染環境が改善されなければ再発リスクは高いままです。

岩野歯科クリニックでは、この考え方に基づき、以下の要素を総合的に評価します。

  • 全歯の歯周ポケット検査・レントゲン撮影による現状把握
  • 咬み合わせの評価:過度な咬合力が特定の歯に集中していないか
  • 生活習慣の確認:喫煙・糖尿病・ストレスなどのリスク因子
  • 全身疾患との関連:必要に応じて主治医と連携

「保存不可能」と言われた歯が1本あっても、口腔全体の環境を整えることで、その歯の予後が大きく変わることがあります。部分的な視点ではなく、口腔全体を診る専門医の視点が重要です。

歯周病と全身疾患の関係〜なぜ全身状態が治療に影響するのか?

歯周病は口腔内だけの問題ではなく、全身の健康状態と深く関連しています

日本歯周病学会会誌(2019年)によると、歯周ポケット内の炎症部位からIL-1・IL-6・TNF-αなどの炎症性サイトカインが血流を介して全身に運ばれ、心臓血管障害・脳血管障害・糖尿病などと関連することが示されています。

特に注意が必要な全身疾患との関係は以下の通りです。

  • 糖尿病:血糖コントロールが悪いと歯周病が進行しやすく、逆に歯周病治療でHbA1cが改善するとの報告もある
  • 心血管疾患:歯周病原菌や炎症性物質が動脈硬化を促進する可能性がある
  • 誤嚥性肺炎:口腔内の細菌が気道に入り込むリスクがある
  • 低体重児出産:妊娠中の重度歯周炎が早産・低体重児のリスクを高める可能性がある

岩野歯科クリニックでは、全身疾患を抱える患者さんに対しても、主治医と連携しながら安全で効果的な歯周病治療を提供しています。全身状態を考慮することで、治療の成功率と長期的な予後が向上します。

残す場合・抜く場合の見通しをご説明します

歯を残す選択にも、抜歯後に補う選択にも、それぞれメリットと注意点があります。当院では両方の見通しをお伝えしたうえで、一緒に方針を考えます。

セカンドオピニオンはどのような場合に有効か?

「抜くしかない」と言われたとき、歯周病専門医へのセカンドオピニオンは非常に有効な選択肢です。

特に以下のような状況では、セカンドオピニオンを強くお勧めします。

  • 詳しい説明なく抜歯を勧められた場合
  • 歯周外科治療や再生療法の提案がなかった場合
  • 複数の歯を同時に抜くよう言われた場合
  • 治療後の見通し(予後)について説明がなかった場合
  • 歯周病専門医ではない医院で診断を受けた場合

岩野歯科クリニックの院長・岩野義弘は、日本歯周病学会認定の歯周病専門医・指導医であり、日本大学歯学部臨床教授として歯周病治療・研究に長年携わっています。

セカンドオピニオンでは、現在の診断の妥当性・保存できる可能性・具体的な治療計画について、精密な検査データをもとに丁寧にご説明します。他院からの紹介患者さんも積極的に受け入れています。

治療後のメインテナンスで歯を長持ちさせるには?

歯周病治療で歯を保存できても、その後のメインテナンスを怠ると再発・悪化のリスクが高まります

日本臨床歯周病学会の方針でも、治療後は「メインテナンス(定期的な清掃と検査)」への移行が明記されています。歯周病は完治する病気ではなく、継続的な管理が必要な慢性疾患です。

定期メインテナンス(PMTC)の重要性

PMTC(プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング)は、歯科医院で専門家が専用器具を使って行うプロフェッショナルクリーニングです。自宅でのブラッシングでは除去できない歯石・バイオフィルムを定期的に除去します。

メインテナンスの頻度は患者さんのリスクに応じて異なりますが、一般的に3〜6か月に1回が目安とされています。

認定歯科衛生士によるホームケア指導

岩野歯科クリニックでは、認定歯科衛生士が個々の口腔状態に合わせたセルフケア指導を継続的に提供しています。正しいブラッシング方法・歯間ブラシ・フロスの使い方を習得することで、治療効果を長期間維持できます。

メインテナンスを継続することで、歯周病の再発を防ぎ、保存した歯を長く使い続けることが可能になります。

岩野歯科クリニックで受けられる歯周病治療の流れとは?

岩野歯科クリニックでの治療は、精密な検査・診断から始まり、個別化された治療計画に基づいて進みます

  • 初診・精密検査:全歯の歯周ポケット検査・レントゲン撮影・リアルタイムPCR検査などで現状を詳細に把握
  • 診断・治療計画の説明:6つの個室診療室のモニター・タブレットを使い、画像を用いてわかりやすくご説明
  • 歯周基本治療:スケーリング・ルートプレーニング(SRP)・TBI(ブラッシング指導)を実施
  • 再評価:基本治療後に再検査を行い、改善度を評価
  • 歯周外科治療(必要な場合):フラップ手術・再生療法などを実施
  • 補綴・咬合治療(必要な場合):咬み合わせの改善・欠損補綴を検討
  • 定期メインテナンス:PMTC・検査・ホームケア指導を継続

院長の岩野義弘は、日本歯周病学会認定研修施設として専門医育成にも取り組んでおり、最新のエビデンスに基づいた治療を提供しています。成城学園前駅北口から徒歩1分という好立地で、世田谷区・祖師ヶ谷大蔵・喜多見・狛江・経堂・千歳船橋など広域からの来院に対応しています。

「他院で抜歯と言われたが、本当に歯を残す方法はないのか」とお悩みの方は、ぜひ岩野歯科クリニックへご相談ください。歯周病専門医・指導医である院長が、精密な検査と豊富な臨床経験をもとに、あなたの歯を守るための最善策をご提案します。セカンドオピニオンも歓迎しています。

よくある質問

歯周病で「保存不可能」と言われたら、すぐに抜歯すべきですか?

すぐに抜歯する必要はありません。「保存不可能」という診断は一般歯科での判断であることも多く、歯周病専門医に相談することで保存できる可能性が見つかるケースがあります。まずはセカンドオピニオンを検討してください。

歯周外科治療(再生療法)はどんな歯でも適応できますか?

すべての歯に適応できるわけではありません。骨の残存量・根の形態・炎症の状態・患者さんのセルフケア能力などを総合的に評価した上で、専門医が適応を判断します。精密な検査が不可欠です。

歯周病の再生療法はどのくらいの期間がかかりますか?

基本治療から外科治療・回復期間を含めると、一般的に数か月〜1年程度かかります。術後の骨再生には3〜6か月の治癒期間が必要で、その後メインテナンスへ移行します。

重度歯周炎の歯を残しても、長持ちしますか?

適切な治療と継続的なメインテナンスを行えば、長期間保存できる可能性があります。ただし、患者さん自身のセルフケアと定期的な通院が長期予後を大きく左右します。

歯周病専門医と一般歯科の違いは何ですか?

歯周病専門医は、日本歯周病学会が認定する高度な専門資格を持つ歯科医師です。重度歯周炎の外科治療・再生療法・精密診断など、一般歯科では対応が難しい治療を専門的に行います。

セカンドオピニオンを受ける際に持参すべきものはありますか?

前医での検査データ(レントゲン・歯周ポケット検査の記録)があると診断の精度が上がります。ない場合でも、岩野歯科クリニックで一から精密検査を行うことができます。

歯周病治療中に痛みはありますか?

基本治療(SRP)は局所麻酔を使用するため、治療中の痛みは最小限に抑えられます。外科治療後は数日間の腫れや痛みが生じることがありますが、適切な処置と投薬で管理できます。

糖尿病があっても歯周外科治療を受けられますか?

血糖コントロールの状態によりますが、多くの場合は治療可能です。岩野歯科クリニックでは主治医と連携しながら、全身状態に配慮した安全な治療計画を立てます。

リアルタイムPCR検査とは何ですか?

口腔内の歯周病原菌の種類と量を遺伝子レベルで特定する検査です。原因菌を把握することで、抗菌療法の選択や治療計画の個別化が可能になり、治療精度が向上します。

成城学園前駅から岩野歯科クリニックへのアクセスは?

小田急線「成城学園前駅」北口から徒歩1分です。東京都世田谷区成城6-8-1 鎌倉ビル1・2階に所在し、世田谷区内広域からアクセスしやすい立地です。

結論

「歯周病で保存不可能」という診断を受けても、それが最終的な答えとは限りません。歯周外科治療・歯周組織再生療法・リアルタイムPCR検査を組み合わせた専門的なアプローチにより、保存できるケースは少なくありません。まず歯周病専門医によるセカンドオピニオンを受け、精密な検査と診断に基づいた治療計画を確認することが、歯を守るための最善の行動です。

岩野歯科クリニック(世田谷区成城)

抜歯を勧められた歯についてのご相談・セカンドオピニオンを承っています。検査結果をもとに、残す場合と抜く場合の見通しをご説明します。成城学園前駅より徒歩1分。

〒157-0066 東京都世田谷区成城6-8-1 鎌倉ビル1・2階/休診日:日曜・祝日/予約制

院長

岩野 義弘

経歴

1999年新潟大学歯学部卒業1999年日本大学歯学部歯周病学講座入局2005年歯科インプラント科兼任2012年日本大学歯学部歯周病学講座退局2012年岩野歯科クリニック開院2014年日本大学歯学部兼任講師2025年日本大学歯学部臨床教授2025年東京科学大学大学院 医歯学総合研究科
口腔再生再建学分野/口腔インプラント科 非常勤講師2025年国際インプラント学会
ITI(International Team for Implantology)フェロー

所属学会・資格